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今と昔のドラマがわかるドラマ好きのためのレビューブログ

映画『食べる女』が教えてくれたのは、恋愛の傷もひとり身の寂しさもぜんぶ美味しい食べ物が癒してくれること

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去年、観たかったのに結局見逃した『食べる女』を動画配信サービスでようやく視聴。

 

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女の生き方と食をテーマにした物語。

 

一応、トン子(小泉今日子)の目線を中心に描いているけど、オムニバス調で登場人物の女たちの人生を映していく。

 

文筆家のトン子は亡くなった親が残した一軒家で古書店を兼業しながらひとり暮らし。好きな人にばかり先立たれ、寂しいときもあるけど、たまに女友達を呼んでご飯を振る舞ったり、自分で美味しいものを作って食べているのが幸せ。

 

トン子の幼馴染の冬美(鈴木京香)は、ご飯屋を営む女将で、男好きすぎて独身。

 

トン子の編集担当のドド(沢尻エリカ)は男よりも仕事!と思っていたけれど、ひょんなことで出会ったタナベ(ユースケ・サンタマリア)と食事をする仲になり……。

 

冬美、ドドと一緒にトン子の家でご飯を食べる仲間・多実子(前田敦子)は、2年付き合って、プロポーズまでされた彼氏がいるけれど、なんかしっくりこない。このまま結婚を決めてしまうか、ひとりになる寂しさを我慢して別れるか葛藤する。

 

多実子とドドの行きつけのバーで働く珠子(山田優)は、バーのオーナーと結婚して3人の子をもうけるも離婚。でも妊娠中の4人目の子も実はオーナーとの子供で……。

 

そのバーの常連・あかり(広瀬アリス)は孤独に耐えきれず、うまい・早い・安い、ひき肉料理のように、自分を安売りしてしまう。それが嫌でいつかステーキのようなしっかりした女になりたいと憧れているけれど……。

 

料理が出来ないことを叱責され夫に捨てられさまよっていたところ、冬美に助けられたマチ(シャーロット・ケイト・フォックス)は、冬美のお店で働き、そこで料理を学び、トン子の家で居候しながら心の傷を癒していく。

 

後にトン子の家に居候することになるツヤコ(壇蜜)は、シングルマザーで2人の子を育てるけれど、やっぱり元旦那のことが忘れられず……。

 

女たちの物語はざっとこんな感じだけど、どの人物のシーンにも欠かせないのが食!

 

トン子宅でのご飯会で出てきたきゅうりの漬物ひとつとっても美味しそう。

タナベがドドの家でふるまうムニエルもよだれもの。

男が家に来るとなるとつくるあかりの簡単ワンタンスープも、ひき肉をこねているシーンだけで、口の中に味が広がる。

ちらっとしか映らないけど、珠子がつけたピクルスもツヤコがピクニックに持っていったサンドイッチも、料理ができなかったマチが作ったブロッコリーの和え物もどれも食べたい。

 

トン子が劇中で、「食べているときと男と愛し合っているときだけは、争いごとやネガティブな感情から程遠くなるらしいけど、愛し合うのは相手がいるから、食事っていうのは、手っ取り早く幸せになれる」というようなことを言っていたけど、まさしくそれを描いている映画。

 

女の人生いろいろある。思わず恋しちゃうこともあれば、恋したくてもできないときもあるし、恋したくないのに落ちてしまうこともある。

でも、美味しいものがあれば、なんかうまく乗り越えられそうな気になってくる。

それを映像でそっと私たちの感情に寄り添うように描いてくれるものだから、落ち込んでいるとき、モヤモヤしたとき、楽しいとき、うれしいとき……喜怒哀楽いずれかの感情が高まっているときに定期的に見返したい作品かも。

 

ご飯が出てくる映画が好きな人、生き方に迷っている女子には特におすすめ。

 

ちなみに原作も読んだことがあって、もちろん原作だから映画と同じ部分も多いけど、映画のほうが、女同士片寄せあって一緒に歩いていこう!という雰囲気が強いかも。

小説は今回出てこなかった女の物語もあるよ。気になった人は原作もぜひ。