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満島ひかりが明智小五郎を演じた「シリーズ・江戸川乱歩短編集」『心理試験』のユーモアあふれる映像が好きすぎる

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先日、「シリーズ・江戸川乱歩短編集」の第1弾(2016年放送)のうちの2作品が地上波で放送されていた。

 

実は、前々から気になってはいたけど、BSプレミアムでの放送だったから逃してばかりで、第3弾でようやくしっかり堪能できた。

だから、初期の作品を観たいと願っていたのよね。

 

今回、地上波で放送されたのは『D坂の殺人事件』と『心理試験』。

どちらもおもしろかったけど、『心理試験』のほうが映像ならではの遊びが多かったので、こちらのほうがより自分には刺さった。

 

※ちなみに原作はこちら。

 

ざっとあらすじを言うと、大学生の蕗屋(菅田将暉)が金目当てに人殺しをする話。

蕗屋は慎重に、けれども犯人ならそうはしないだろうと裏の裏をかく作戦でなんとか罪に問われないようなことを仕掛けていくが、そのトリックを明智小五郎(満島ひかり)が暴いていく様を描く。

 

まず、小説の一節と思われる言葉が襖に書かれているシーンからドラマがはじまることからして、まずおかしい。

そして、満島ひかりが物語を誘導するような役回りとしてほんの少しだけ登場する。そこで、あえて劇中で蕗屋が人を殺しに行くシーンと同じ格好をすることで(初見だと当然何の格好をしているかはわからないけど)、ストーリーの「これから」を予知するような役目を担わせ、観ているこちら側をワクワクさせるところもたまらない!

 

また、明智を満島ひかりが、老婆役を嶋田久作が演じている。こうやって自分の性とは違う性別の役を演じているところも痛快。

 

クライマックスシーンなんか、明智が弁護士と嘘をついて蕗屋と対峙するわけだけど、「弁護士」って言ってるのにチャップリンがかぶるような帽子を身に着け、ボーダーのシャツに柄入りのサロペットというカジュアルな洋服、付け髭、色眼鏡という出で立ち。

しかも、核心をつくような場面に来るまで蕗屋とは目を合わさない。むしろ、誰もいない方向を見てしゃべる。

笠森判事(田中要次)が話しているのに、その頭をもってグルっと1回転させたり……。

もう惚れ惚れするほど遊び心満載!

そういえば、蕗屋の真横で話してるシーンで明智は、あえて真っ赤な口紅を取り出して塗ってたっけ。それが蕗屋へ正体をバラすシーンの布石になっているんだけど、それも含めてこのシーンが大好き。

 

まだ、ソフト化されてないのが残念だし、見逃した作品がまだまだあるので、また地上波で放送してもらえることを期待しているんだけど。

 

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