言の葉の庭
雨の表現がとてもきれいで、新海誠監督の作品はどれも景色がきれいだけど、この雨のきれいさは他の作品とは別格です。
舞台はどうやら新宿御苑の日本庭園。
高校生とOL風の女性が約束するわけでもなく雨の日に会うことで徐々に心を通わせていく物語。
名前なんてちゃんと知らないけど、なんとなしに話しかけるようになって、毎回会うたびに気持ちが落ち着くというか、心が和むというか、そんな恋しているのかどうかもまだ気づいていないような初々しい感情を思い出させてくれます。
セリフやシーンではっきりとキャラクターのバックグラウンドを言うところも少ないし、すっきり結論が出るストーリーではないけれど、その分想像したり余韻に浸れるのがこの映画の醍醐味。
それに秦基博さんが歌う「Rain」も作品にピッタリでものすごくいい味出してる!
ちなみに、この話にキャッチコピーをつけるとすると個人的には「愛しさと切なさと心強さと」という感じなのだけど(ギャグっぽくてゴメン!)、でも本当にそんなニュアンスが強い作品なんです。
少し物悲しくて涙したい夜とか、まさに雨の日にしっとりしたい日とか、ちょっと落ち込んでいるときとか、逆にうれしいことがあって興奮して眠れない夜とかに見るといいかも。
厳しい現実をきっちり描いているのになぜか心洗われるので。
人と向き合いたくなってくる「酒井若菜と8人の男たち」
人の宝物を見てこんなにこんなに大切にしている気持ちが伝わってきたものはない!
と思えるほど大事に大事に読み進めて、そしてまた大事に大事に読み返したいと思った本はないかも。
内容は酒井さんと親交のある俳優さんや芸人さんとの対談プラスその方たちにまつわる酒井さんのエッセイが一人ひとりついているというもの。
一人ひとりにちゃんと向き合えていて、それぞれときちんと心を通わせているんだなぁというところに確かに羨ましさは感じるんだけど、羨望というより「私もそうやって人と向き合っていきたい」という目標が展開されているように感じた。
「ああ、まだちゃんと人と向き合っていきたいという欲が残っていたんだ」と夢も希望も中途半端で将来への不安だけ大きくなっていっている今現在の私にとっては大きな励みになりました。
どの方の対談も全然違うテイストで、だからこそ味わい深い。
落ち込んだときにも励みになりそうだけど、夜寝る前にちょっとだけ誰かとおしゃべりできたら気持ちが落ち着いてぐっすり眠れそうだな……なんて気分のときに開くと、そんなことが疑似体験できそうな気がするような本かも。
日村さんが岡村さんの話を出して、次が岡村さんという流れの作り方もうまい!
なんか読んでると優しさにそっと包み込まれようななんとも不思議に感じる読書体験をぜひ体感してもらいたい書籍です。
思いのほか音楽劇だった『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』
「地獄図(ヘルズ)」というバンドが出てくるのは事前に知っていたので「音楽」が出てくるのはわかってましたが、思いのほかロックミュージカルテイストな映画でした。
出てくるアーティストも豪華!
Char、野村義男、マーティ・フリードマン、ROLLY、シシド・カフカなどなど……。
サントラも出てるみたいですが、サントラっていうよりコンピアルバムのような内容になっている気さえするほど音楽には力入ってました。
なので、音楽映画として楽しむのもおすすめです。
話の展開は、これまでの宮藤官九郎監督作のテイストがぎゅぎゅっと詰まっている感じ。
なので、『真夜中の弥次さん喜多さん』とか『少年メリケンサック』とか『中学生丸山』を事前に見ておくと、いい予習になりそう。
個人的には「やっぱり荒川良々は現世の人としては出しなくないんだなー」とか「母親は坂井真紀さんがしっくりきてるんだなー」とか。過去作品を思い出してそんなこと考えながら見てました。
小道具とか芸が細かい描写もきっと多いはずなのでじっくり見るならDVDでチェックするほうがいいと思うんですが、思いのほか歌ったり楽器弾いたりするシーンが多いので、音の良さを考えると映画館とか大きい画面、いい音響で見るほうが楽しいかな……と。
ちなみに過去の宮藤官九郎監督作はこちら。