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気弱な庭野(工藤阿須加)がキレた!?『家売るオンナの逆襲』8話

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『家売るオンナの逆襲』8話。

 

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ケーキ屋になる夢を叶えるため家を売りたいと言い出した棟方幸子(南野陽子)が娘・すみれ(大後寿々花)を連れてテーコー不動産にやってくる。

担当は庭野(工藤阿須加)。幸子は夢を語るが、家の共同名義になってるすみれは、「やっぱり売りたくない」と言い出し、困る幸子と庭野。

時を同じくして、庭野の父(泉谷しげる)が突如、営業所に現れ、浜松にある実家を売ってたこ焼き屋を開くと言い出す。

夢見がちで何度も失敗してるのを見てきている庭野だから、せっかく亡き母が残してくれた実家を売ってまで新しい商売をすると言い出した父に猛反発する。

しかしそこへ三軒家(北川景子)が「私が家を売ります」と言ったものだから慌てる庭野。

 

偶然にも担当客と似たような境遇に陥った庭野は、三軒家が父にハッパをかけるような発言をしたこともあり、いい加減、三軒家のアシスタントのような不甲斐ないポジションから「卒業」したいと考える。

 

その頃、留守堂(松田翔太)と出会い恋に落ちてから絶不調の足立(千葉雄大)も、三軒家を愛してるという留守堂からの「卒業」を考えていて……。

 

庭野を軸にして、自分の夢に子供を巻き込むプチ毒親との決別と、離れるべき人からの心の中での決別、この2つを描いていったのが今回の話。

そして、いつも三軒家が既存の価値観を壊し、新しい価値観を提案する形で1話の結末を迎えるのだけど、今回もそう見せかけておいて、三軒家はアシスト役。

 

棟方母娘の内見の際、肝心なところで声が出なくった三軒家の通訳をしていた庭野だったが、自分の夢を叶えるために娘の人生を犠牲にしている姿と自分と父の関係が重なり、つい「世間では親孝行がよしとされているけど、成人したらそれぞれで生きるべきだ」と声を荒げてキレ気味にすみれを説得する。

 

三軒家がやるはずの「既存の価値観を壊して、新たな価値を提案する」役回りを今回は庭野が請け負った。

そのおかげで、やっと自分の殻が破け、三軒家から卒業した庭野。

 

純朴で従順で真面目なのはいいけれど、イマイチ押しが弱いというか頼りなげに見える庭野がようやく8話にして成長したのは、ホッとしたし、いつもとテイストが違うこのドラマの流れも、これはこれでおもしろかった。

 

この庭野を見てもうひとり吹っ切れた人間が。それは足立。

 

留守堂に告白したものの、だからってその先、何がしたいのかわからなかった。

でも、「家を売ること」が今の仕事なのだと庭野に自覚させるため三軒家が彼を罵倒し倒していたシーンを見て、自分の本来の仕事はまさに「家を売ること」であって、留守堂と何がしたかったわけではないと気づいた足立は、留守堂から「卒業」することができた。

 

今回は、三軒家ではなく、庭野が話の流れをリードする主役のような役割を担うという、いつものストーリーと切り口を変えているところ。それだけでなく、庭野の毒親問題と卒業問題の2つの問題を彼自身も解決したし、同じ悩みを抱えていた棟方すみれ、足立の問題も解決できたというところ。

この2つの軸を中心にした話の構造にまったく無駄がなく、しかも共感度が高く作られていて、うまーくストーリーが組み立てられていることに感動した個人的な神回だった。

本当におもしろかった。

 

もう、このままテーコー不動産とその周辺のキャラに動きがなければいろんな話が無限にできそうと思えてきたけど、来週の予告を読むとついに留守堂が本格的に動き出すみたいで……。

最終回どうなっちゃうんだろう。

 

※ちなみに前シリーズ『家売るオンナ』はこれ。

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