ドラマガガ

今と昔のドラマがわかるドラマ好きのためのレビューブログ

HEROとHERO

follow us in feedly

 今更というかこのタイミングというか。

『HERO』(2007年)と『HERO』(2015年)の2本を見てみました。

 

 

 

2007年版は、会社員が暴行により殺された事件の裁判のため調査を進めていったら、それが大物政治家・花岡の汚職事件にもつながっていて……。そのせいで暴行殺人の被疑者には花岡がよこしたやり手弁護士・蒲生が担当することになり、事件の裁判が大混乱。そんな危機を久利生がどうやって打開していくのかが見もののストーリー。

 

2015年版は、ネウストリア公国大使館そばで交通事故で亡くなったコンパニオンの女性の事件を調べていくうちに、ネウストリア公国の大使館職員がある犯罪に手を染めていることが発覚。またこの亡くなったコンパニオンの女性というのは元々暴力団絡みの事件の証人になっており、この事件を担当していたのが検事になった雨宮。そのため久利生と雨宮が城西支部で再会!しかし交通事故の調査を進めるにはどうしても大使館の中に入らないことにはわからない。しかも大使館に入ること自体が国境を越えることになるため許可が必要だけれど外務省欧州局長の松葉などの邪魔が入りなかなか前に進まない。久利生&雨宮のタッグがどうそれを乗り越えるのかが見どころ。

 

比較してみるとどちらも共通しているのが、とある事件から巨大な組織の犯罪につながっているということ。

そして最初は面倒くさがってた城西支部の仲間たちも久利生の諦めない姿にやられ協力し、行く手を阻むもの(松本幸四郎演じる蒲生や佐藤浩市演じる松葉)を突破していく……という流れ。

事件が厄介なところとそれを解決していく過程が緩急あって面白いし、出てくるキャラがみんな濃いのもこの物語に惹きつけられる部分なんだと思います。

 

個人的には、そのバランスがうまく取れているのは2007年版のほうな気がするけど、雨宮の存在感が『HERO』を象徴しているのだと改めて気付かされたのは2015年版。

 

『HERO』テレビ版の2014年放送分からは久利生の事務官は麻木に代わり、これはこれで面白い掛け合いが見られたのだけど、どうもなんか物足りない……と思っていたものが2015年の映画『HERO』でようやくその原因がわかった感じです。

 

久利生が通販好きだったり、調査のためのお出かけが多かったり、検察官としては破天荒なのに人柄がいまいち掴めないというキャラクターを支えていたのがお節介で強気で真面目でお堅い雨宮。

 

麻木が出てきたときは、久利生のキャラクターを支えるというよりは、2人でようやくひとつの世界観が成立していたような、そんな印象だったんです。でも、それはそれで2007年の映画からも年月が経っていたので気にならなかったんですが。

 

でも2015年の映画で久々に雨宮を見たら、「そうだ!  そうだ!  『HERO』って雨宮がいてこその『HERO』だったんだ!」と、2007年以来の空気感を思い出しました。

 

久利生はブレないというか、どんな逆境に遭遇しても絶対に成長がないんですよね。むしろ久利生がいて周りが成長していくことに受け手は共感したり、感動するように出来てる。

 

その中でも雨宮の変化が久利生を引き立たせる役回りでもあるし、変化が大きい分雨宮のほうにばかり感情移入してしまいがちだったから、存在感が大きかったんですね。

 

まさかもう続編はないと思うので最後に検事になった雨宮が見られてよかった。そして、なんとなく久利生と雨宮の間に気持ちがつながっているような描写があってよかった。

 

 

『HERO』はサントラも結構好き。