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今と昔のドラマがわかるドラマ好きのためのレビューブログ

妄想&解説がウザいけどそれがまたいい『さぼリーマン甘太朗』

実際に行ける・作れる(作れそう)なグルメドラマに心惹かれます。『さぼリーマン甘太朗』もそう。

 

ドラマの内容を知ったとき、「『孤独のグルメ』のスイーツ版?」と思ったのですがまさにそう。ただ違うのは、主人公・甘太朗の妄想がかなり多め。

 

壇蜜を見てあんみつ食べたいという思考になるし、白蜜・黒蜜に塗れたいあまりそれを映像化したり(塗れ方は滝行)、入社したばかりの会社のメンバーをあんみつの具に見立て、仲間として自分が受け入れられる想像をしたり……。それだけでなく、お店・メニュー・具材へのうんちくも。

お目当の品が到着してからもそんなうんちく&妄想が連続するので「いいから早く食えよ!」とツッコミたくなるのですが、そのウザさも心地よいドラマです。

 

そんなちょいウザな甘太朗を演じるのが尾上松也さん。モノローグばかりの物語を清涼感と甘味のあるいい声で演出してくれます。甘太朗がスイーツへの情熱が熱すぎても憎めないのはこのおかげなのかも⁉︎

 

2話目は「かき氷」がテーマ。「かき氷」をおいしく食べたいがためにヒートテックを着込むらしいです。え?

ストーリー|木ドラ25 さぼリーマン甘太朗 公式サイト。毎週木曜 深夜1時放送! 主演:尾上松也:テレビ東京
とにかく次回も気になる。

 

ちなみに原作はこちらです。

 

 

 

『ウチの夫は仕事ができない』は壇蜜に目が離せない

初回を観てみました。

 

素早い対応を求められる職場なのにもかかわらず、優しさゆえに、仕事の都合よりも情を優先してしまうため結果を出せない夫と、そんな彼を内助の功で支えようとする今どき古風な妻。この二人の夫婦としての成長をコメディタッチで描くドラマ。

 

てっきり夫は特技もないダメ夫なのかと思いきや、キノコが大好きで大学院まで出たという専門分野を持っている人。

妻はどうやら派遣で働いているようだけど、時間的に余裕があるので専業主婦に近い存在。

特技があるのになんでうっかり受かったイベント会社で夫は働いているのか…….ということは少し納得いかないけれど(その特技を生かして仕事の困難を乗り越えようとするという伏線的な役割があるのかも?)、妻が専業主婦的な立場で仕事ができない夫を支えるっていう構図は、結婚後も働く女性が増えてきている世の中の流れを考えるとちょっと古いモデルじゃないかしら?と思うのだけど、どうなんだろう。

 

妻はバリキャリ、なのに夫は……という設定だったら……?

あんなホームコメディみたいな雰囲気が出せないってことかしら?

ただ『アットホームダッド』のようなストーリーもあるので出来ないことはなかったと思うんだけどなぁーというのが個人的な感想です。

 

 

ただ観ていて目が離せなかったのは壇蜜さまの存在。夫の先輩役なのですが、超色っぽい口調で放たれる「男言葉」がなんかいい。

指示出しした後、夫が言った「え?」に対して、「え? じゃなくて、はい、だろ?」とか「どんだけだよ!」「お前」や、男性社員の苗字呼び捨てなどなど。

これまでとはひと味違う壇蜜さまの演技が見逃せない!

ちなみに来週は蜜さまの登場シーンが多そう。

 

ちょっと否定的なことも書いてしまいましたが、まだドラマははじまったばかり。どんなゴールになるか&壇蜜の男勝りなバリキャリ女子役にも期待して今後もウォッチしてみたいと思います。

 

 

20年後の麻也子は「愛」より「恋」―『あなたのことはそれほど』と『不機嫌な果実』

個人的にいいとは思わないけど、世の中で盛り上がっているネタが不倫。

テレビドラマもそんな踏み外した関係についつい興味を持つ人が多いようで、『あなたのことはそれほど』も何かと話題になっている様子。

しかも不倫といえば、既婚男性がスポットを浴びそうなのに、今回は既婚女性。珍しい設定だけれど、観ていて思い出したのがちょうど20年前に同じくTBSで放送されていた『不機嫌な果実』(テレ朝でも放送されてましたが今回は除外)。

欲深いことを知っている女

『不機嫌な果実』は、主人公・麻也子がおもしろくない結婚生活から逃避するためにした不倫をきっかけに、その相手とは別の男を好きになってしまうというのが大まかなあらすじ。

ただ結局、大恋愛の末に結ばれた相手とも結婚してしまえば味気のない日常が待っていただけで、また刺激ある出来事を麻也子は求めてしまいます。

本当は向き合わなければならない現実から逃げるために、欲に流され生きる麻也子。そして、そんな欲深いことを周りに悟られたくないために嘘に嘘を重ねる様子が絶妙に描かれています。

欲深いことを知らなかった女

『あなたのことはそれほど』では、主人公・美都が結婚した矢先にずっと思い続けていた人と再会してしまったがゆえにはじまる不倫。

ただ「好き」というだけで後先考えずに突っ走る美都ですが、確か第7話で「私ってこんなに欲深かったんだ」というようなセリフがあった通り、自分が欲深い女だったことなんて、まったく気付かなかった彼女。

夫以外の人にも不倫をすれば影響が及ぶなんてほとんど考えていないというところも特徴的だなと思いました。

家庭を壊すつもりはない2人

結局は好きな人のために離婚に至った麻也子ですが、当初はかまってくれない夫へのちょっとしたいたずら心からスタートしていたこともあり、家庭を壊すつもりなんて毛頭なかったはずなのです。また美都もただ好きな人と会いたかっただけ、夫にさえバレなければまったく問題ない、別に夫と別れるつもりはないというのが、『不機嫌な果実』と『あなたのことはそれほど』の共通点。

またもっと言ってしまうと、麻也子は夫のことを愛しているとは言っておらず、嫌いではないけれど別に大恋愛の末結ばれた仲でもなく、適齢期にちょうどいい相手だったので結婚した……というニュアンスが伝わる描き方になっています。美都も劇中で言っていますが「二番目に好きな人」であり、どちらも結婚したいタイミングに、夫としては体がいい相手だったから結婚、そしてその後、たまたま好きな人に出会ってしまった……ということも共通点として挙げられるでしょう。

20年後の麻也子の不倫とは?

夫と別れることは念頭になかった、適齢期にいい相手だったから結婚して、その後に好きな人に出会ってしまったという共通点はあるものの、『不機嫌な果実』から20年経って描かれる女の不倫はさすがに違いがあります。

麻也子は結婚生活の逃避から始まっていますが、美都は夫に出会う前からずっと片思いだった人に再会しまったことがきっかけであること。

その証拠に、麻也子は子離れしない義母との付き合いを面倒くさがり、マザコンなくせに家政婦のように自分を扱い、女として見てくれないことにうんざりしている猫写が登場します。

一方、美都のほうはほとんど夫側の家族との付き合いが出てきておらず、家事も積極的に行う夫なので、相手の家族との不和、夫が家のことを任せてくることが不満……なんて表現もありません。

だから、片思いの相手と再会しなければ、美都は不倫に走らなかったかも?

「好き」と「愛している」の違い

でも気になるのは、美都の恋愛は、不倫相手の有島の思い出をただ美化して頭の中で膨らんだ「好き」の執着心のように見えること。しかも第2話、第3話あたりで自分が思い込んでいた有島と違うことにも気づいているだけに、まるで「好きな人がいる自分に酔っている」ようです。それに「好き」とは言うけれど「愛している」というセリフは聞いたことがない気が。

一方、麻也子は大恋愛に陥る工藤のことを最初、邪険に扱っていたのですが、彼の真摯な態度にどんどん惹かれ……。その恋におちたときのニュアンスや工藤と想い合う姿がうまく描かれていて、「好き」ではなく「愛している」というにふさわしい表現がなされています。

時代を反映している?

この相違点を見ると、あくまでドラマの中での話だとしても、20年前よりも前から憧れていた、好きだった感情があれば不倫さえもしてしまうこと、そして、お互い想いが通じ合って感情が高まっていくような愛を求めるというよりも、相手がどう受け取ろうとかまわないから、自分の中で膨らませた恋心ひとつだけで行動につなげてしまう時代になってきているのかもしれないと思えてきます。

だからといって、恋が悪くて愛がいいというつもりはまったくなく。ただ『あなたのことはそれほど』は他人にかける情が自分の妄想力に偏りがちになっている今を反映しているドラマと言えるような気がしています。

 

 

 

エヴァな逃げ恥

『情熱大陸』や『NEWS23』など、パロディを時折混ぜながら、契約結婚の酸いも甘いも描いていくラブコメドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』。

3話は『サザエさん』のパロディが出てきたけれども、まさかの「エヴァ」が4話に登場!

 

主人公・みくりの元カレの名前はなぜか『新世紀エヴァンゲリオン』を彷彿とさせる「シンジ」(もちろんカタカナ)。

 

就活中のシンジ君は連戦連敗。

そのため、暴走。

 

心理学専攻のみくりが、シンジ君の性格や心理をあれこれ分析したら、「そんなこと頼んでねぇよ」「お前、何様だよ」と言いながら、こんなことをほざきます。

 

「お前、小賢しいんだよ。」

 

「お前、何様だよ」ってところ。

就活をテーマにした作品にちなんで、「何者」って単語が入るかと思ったけど、残念「何様」でした。

 

しかし、うまーくパロディを入れているよなと思うこのドラマ。

正直、ストーリーの本筋とはまったく関係ないのだけど、これがいいスパイスにもなっているし、ドラマのリズムがとても心地よいものになっているのもこういったシーンあってこそなんだと感じます。

 

さて、次回はどんなものをぶち込んでくるのか楽しみです。

 

 

思っていたクライマックスと違っていい意味で裏切られた映画『SCOOP!』

実のところ最初はあまり内容に期待していなかった『SCOOP!』。 

予告を観て、

「ああ、きっとこれ犯人の顔を撮影するのがクライマックスで、できない新人ちゃん演じる二階堂ふみがここで成長していくんだろうなー」

なんて「ほぼネタバレの予告じゃん」と思っていたんですが……。

 

本編を見たら全然違いました。

 

確かに、ほぼスキャンダル専門のカメラマン役・福山さんとふみちゃんのバディムービーの要素はあるし、取材対象者との駆け引きもハラハラするし、恋愛要素もあるけれど、

どうして人は他人のプライバシーを知りたくなるのか、

たとえ怖くておぞましくショッキングなものだとしてもある出来事の事実を人はどうして見てみたいと思うのか、

ということを考えさせられる映画です。

 

また、予告にはほとんど映っていないクライマックスシーンでは、

個人的な感情が湧き上がる時と仕事と向き合わなければならない瞬間が同時に訪れたとき自分ならどうするか、

という究極に近い選択についても考えさせられます。

 

見終わったあと、全然期待していなかったということに大根仁監督に向かって土下座したいくらいの気持ちに……。そして、原作と言われている映画『盗写1/250秒』がとても気になりました。

調べたけど、どうもDVD化とかもされておらず、見られる機会がほとんどない様子。

どう原作と違うのか似ているのか、そして私たちに訴えるメッセージってどんなものなのか……。

とても気になるけど、どこかのタイミングで見られることを期待して、ひとまず『SCOOP!』の内容を噛み締めます。

 

 

安野モヨコと庵野秀明監督の深い夫婦の愛情を描いている『監督不行届』

『シン・ゴジラ』の影響なのか久々に『監督不行届』を読み返してみた。

 

 『監督不行届』は、庵野監督の奥さん・安野モヨコが結婚生活を描いたエッセイコミック。

発売されたのが約10年前なので、オチビサンもエヴァ新劇場版も生まれてなかった頃の話。

発売されてすぐに買ったので私が初めて読んだのも約10年前になる。

 

当時は、

「庵野監督ってこんな人だったんだ!」

とか

「夫婦ってこういう関係性を築いていくもんなんだなー」

というくらいとてもとてもライトにしか読み込めてなくて。

 

それから何度か読み返しているのに、まだまだ自分が未熟だったせいで上辺しか汲み取れておらず、巻末の庵野監督のインタビューにあった「(妻を)守りたい」という言葉にただ憧れているだけ。

 

でも、久々に読み返してみてようやく感じたのは、夫婦の深い愛情だった。

 

つい男女の愛というと恋に近い、そこにいるだけで心が熱くなってくるようなイメージで、例えて言うなら「昼ドラ」にあるような離れたくても離れられないお互い共にいると冷静になれないというような情熱的な感情を思い浮かべていた。

でも、本当の意味での男女の深い愛情というのはとても静かで二人の間に折れない一本の軸がすーっと入っているようなもの。

それがきちんと作品に詰まっているのをようやく感じとることができた。

 

私はそれまで一体何を見てきたのか……(大汗)。

 

ちなみに、庵野監督のインタビューでこんな発言が。

嫁さんのマンガのすごいところは、マンガを現実から避難場所にしてないないとこなんですよ。(略)現実に対処して他人の中で生きていくためのマンガなんです。

確かにそうなのかも。

 

買って10年経つけど、もうそのときに買った本はほとんど手放しているはずなのにこの本は残っている。

浅くしか読めていなかったけど(笑)、実際に何度も読み返しているし、どこか胸に刺さるもの、庵野監督が言う「現実に対処して他人の中に生きていくため」のメッセージをどこかで感じていて、手放せなかったのかも。

 

そういえばこの引用箇所の部分を読んで感じたのは、エヴァの新劇場版はその「現実に対処して他人の中に生きていくため」の作品を実現したくて作っているのではないかということ。

実際のところわからないけれど、そう思ってエヴァ新劇場版を見返すとまた違ったおもしろさが見つかりそう。

 

少し話がそれたが、さらに時間が経って再び読むと、今とはまた違う感想を持つ気がする『監督不行届』。かなり奥が深いマンガなのかも。まだまだ手放せない!

 

ちなみにマンガ本編で好きだったシーンは、ロンパースが風邪をひいてカントクが看病してくれる回と西田健さんに会う回。あとジャック(飼い猫)が来た回も!