ドラマガガ

今と昔のドラマがわかるドラマ好きのためのレビューブログ

エヴァな逃げ恥

『情熱大陸』や『NEWS23』など、パロディを時折混ぜながら、契約結婚の酸いも甘いも描いていくラブコメドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』。

3話は『サザエさん』のパロディが出てきたけれども、まさかの「エヴァ」が4話に登場!

 

主人公・みくりの元カレの名前はなぜか『新世紀エヴァンゲリオン』を彷彿とさせる「シンジ」(もちろんカタカナ)。

 

就活中のシンジ君は連戦連敗。

そのため、暴走。

 

心理学専攻のみくりが、シンジ君の性格や心理をあれこれ分析したら、「そんなこと頼んでねぇよ」「お前、何様だよ」と言いながら、こんなことをほざきます。

 

「お前、小賢しいんだよ。」

 

「お前、何様だよ」ってところ。

就活をテーマにした作品にちなんで、「何者」って単語が入るかと思ったけど、残念「何様」でした。

 

しかし、うまーくパロディを入れているよなと思うこのドラマ。

正直、ストーリーの本筋とはまったく関係ないのだけど、これがいいスパイスにもなっているし、ドラマのリズムがとても心地よいものになっているのもこういったシーンあってこそなんだと感じます。

 

さて、次回はどんなものをぶち込んでくるのか楽しみです。

 

 

思っていたクライマックスと違っていい意味で裏切られた映画『SCOOP!』

実のところ最初はあまり内容に期待していなかった『SCOOP!』。 

予告を観て、

「ああ、きっとこれ犯人の顔を撮影するのがクライマックスで、できない新人ちゃん演じる二階堂ふみがここで成長していくんだろうなー」

なんて「ほぼネタバレの予告じゃん」と思っていたんですが……。

 

本編を見たら全然違いました。

 

確かに、ほぼスキャンダル専門のカメラマン役・福山さんとふみちゃんのバディムービーの要素はあるし、取材対象者との駆け引きもハラハラするし、恋愛要素もあるけれど、

どうして人は他人のプライバシーを知りたくなるのか、

たとえ怖くておぞましくショッキングなものだとしてもある出来事の事実を人はどうして見てみたいと思うのか、

ということを考えさせられる映画です。

 

また、予告にはほとんど映っていないクライマックスシーンでは、

個人的な感情が湧き上がる時と仕事と向き合わなければならない瞬間が同時に訪れたとき自分ならどうするか、

という究極に近い選択についても考えさせられます。

 

見終わったあと、全然期待していなかったということに大根仁監督に向かって土下座したいくらいの気持ちに……。そして、原作と言われている映画『盗写1/250秒』がとても気になりました。

調べたけど、どうもDVD化とかもされておらず、見られる機会がほとんどない様子。

どう原作と違うのか似ているのか、そして私たちに訴えるメッセージってどんなものなのか……。

とても気になるけど、どこかのタイミングで見られることを期待して、ひとまず『SCOOP!』の内容を噛み締めます。

 

 

安野モヨコと庵野秀明監督の深い夫婦の愛情を描いている『監督不行届』

『シン・ゴジラ』の影響なのか久々に『監督不行届』を読み返してみた。

 

 『監督不行届』は、庵野監督の奥さん・安野モヨコが結婚生活を描いたエッセイコミック。

発売されたのが約10年前なので、オチビサンもエヴァ新劇場版も生まれてなかった頃の話。

発売されてすぐに買ったので私が初めて読んだのも約10年前になる。

 

当時は、

「庵野監督ってこんな人だったんだ!」

とか

「夫婦ってこういう関係性を築いていくもんなんだなー」

というくらいとてもとてもライトにしか読み込めてなくて。

 

それから何度か読み返しているのに、まだまだ自分が未熟だったせいで上辺しか汲み取れておらず、巻末の庵野監督のインタビューにあった「(妻を)守りたい」という言葉にただ憧れているだけ。

 

でも、久々に読み返してみてようやく感じたのは、夫婦の深い愛情だった。

 

つい男女の愛というと恋に近い、そこにいるだけで心が熱くなってくるようなイメージで、例えて言うなら「昼ドラ」にあるような離れたくても離れられないお互い共にいると冷静になれないというような情熱的な感情を思い浮かべていた。

でも、本当の意味での男女の深い愛情というのはとても静かで二人の間に折れない一本の軸がすーっと入っているようなもの。

それがきちんと作品に詰まっているのをようやく感じとることができた。

 

私はそれまで一体何を見てきたのか……(大汗)。

 

ちなみに、庵野監督のインタビューでこんな発言が。

嫁さんのマンガのすごいところは、マンガを現実から避難場所にしてないないとこなんですよ。(略)現実に対処して他人の中で生きていくためのマンガなんです。

確かにそうなのかも。

 

買って10年経つけど、もうそのときに買った本はほとんど手放しているはずなのにこの本は残っている。

浅くしか読めていなかったけど(笑)、実際に何度も読み返しているし、どこか胸に刺さるもの、庵野監督が言う「現実に対処して他人の中に生きていくため」のメッセージをどこかで感じていて、手放せなかったのかも。

 

そういえばこの引用箇所の部分を読んで感じたのは、エヴァの新劇場版はその「現実に対処して他人の中に生きていくため」の作品を実現したくて作っているのではないかということ。

実際のところわからないけれど、そう思ってエヴァ新劇場版を見返すとまた違ったおもしろさが見つかりそう。

 

少し話がそれたが、さらに時間が経って再び読むと、今とはまた違う感想を持つ気がする『監督不行届』。かなり奥が深いマンガなのかも。まだまだ手放せない!

 

ちなみにマンガ本編で好きだったシーンは、ロンパースが風邪をひいてカントクが看病してくれる回と西田健さんに会う回。あとジャック(飼い猫)が来た回も!

 

 

俺たちに明日はある

SMAP解散報道もやや落ち着いた中、昔録画したDVDの整理をしていたら、2014年の27時間テレビ内で放映された「俺たちに明日はある」というドラマが出てきた。

 

内容は「SMAP解散」という噂が流れてそれをめぐりSMAPメンバーはどう思っているのか……実際にメンバーを追っかけたり、インタビューしたり、ドキュメンタリー風なドラマの展開を通して彼らの本音に迫るというもの。

 

先に言ってしまうと、スマスマの番組枠がほしかった明石家さんまが解散の噂を流して、SMAPに責められるというのがオチです。

 

当時は都市伝説のように語られていたSMAP解散ですが、解散が決まった今見ると予言していたんじゃないかというくらいリアル。

 

冒頭、SMAP解散にまつわるつぶやきや掲示板の書き込みが数々映し出されるのですが「年内解散」とか「独立」という文字が躍り、検索ランキングのような画面には「SMAP 解散」といった単語が並ぶ。

スマスマの収録後らしい映像が映るのだけど、なんだかメンバーがよそよそしく見える(演出なのかもしれないし、そもそも昔からそういう雰囲気なのかもしれないけど)。

解散について聞かれて言葉を濁すメンバーがいたり、27時間テレビの打ち合わせ中に「こんな状況じゃ……」というメンバーがいたり。

 

とはいえ、ドラマでは解散しないことをファンの前で報告し、「俺たちに明日はある」を披露。

しかも、SMAPについてどう思っているのかメンバー各々に聞くインタビューシーンではそれぞれグループ愛を語っていて……。

 

こういったシーンを見ると「年末のスマスマで『俺たちに明日はある』を歌って『実は解散はウソでした!』なんて言ったりして!」「もしかしてドラマを再現した壮大なドッキリだったり⁉︎」なんて考えてしまうけれど、現実はそんな甘くドラマチックな展開あるはずがない。

 

ほんの5年くらい前までは「笑っていいとも」最終回も「こちら葛飾区亀有公園前派出所」最終回も都市伝説中の都市伝説だと思っていたけど、その終わりは見えてしまった。

それらと同じように永遠なんてあるわけがないというのをとても実感した出来事でした。

 

そう考えると『徹子の部屋』も……?

今は考えたくない!

 

 

【9/7追記】

まさかの『シュート』(SMAPメンバー総出演の青春映画)のDVDが出てた!

 

 

HEROとHERO

 今更というかこのタイミングというか。

『HERO』(2007年)と『HERO』(2015年)の2本を見てみました。

 

 

 

2007年版は、会社員が暴行により殺された事件の裁判のため調査を進めていったら、それが大物政治家・花岡の汚職事件にもつながっていて……。そのせいで暴行殺人の被疑者には花岡がよこしたやり手弁護士・蒲生が担当することになり、事件の裁判が大混乱。そんな危機を久利生がどうやって打開していくのかが見もののストーリー。

 

2015年版は、ネウストリア公国大使館そばで交通事故で亡くなったコンパニオンの女性の事件を調べていくうちに、ネウストリア公国の大使館職員がある犯罪に手を染めていることが発覚。またこの亡くなったコンパニオンの女性というのは元々暴力団絡みの事件の証人になっており、この事件を担当していたのが検事になった雨宮。そのため久利生と雨宮が城西支部で再会!しかし交通事故の調査を進めるにはどうしても大使館の中に入らないことにはわからない。しかも大使館に入ること自体が国境を越えることになるため許可が必要だけれど外務省欧州局長の松葉などの邪魔が入りなかなか前に進まない。久利生&雨宮のタッグがどうそれを乗り越えるのかが見どころ。

 

比較してみるとどちらも共通しているのが、とある事件から巨大な組織の犯罪につながっているということ。

そして最初は面倒くさがってた城西支部の仲間たちも久利生の諦めない姿にやられ協力し、行く手を阻むもの(松本幸四郎演じる蒲生や佐藤浩市演じる松葉)を突破していく……という流れ。

事件が厄介なところとそれを解決していく過程が緩急あって面白いし、出てくるキャラがみんな濃いのもこの物語に惹きつけられる部分なんだと思います。

 

個人的には、そのバランスがうまく取れているのは2007年版のほうな気がするけど、雨宮の存在感が『HERO』を象徴しているのだと改めて気付かされたのは2015年版。

 

『HERO』テレビ版の2014年放送分からは久利生の事務官は麻木に代わり、これはこれで面白い掛け合いが見られたのだけど、どうもなんか物足りない……と思っていたものが2015年の映画『HERO』でようやくその原因がわかった感じです。

 

久利生が通販好きだったり、調査のためのお出かけが多かったり、検察官としては破天荒なのに人柄がいまいち掴めないというキャラクターを支えていたのがお節介で強気で真面目でお堅い雨宮。

 

麻木が出てきたときは、久利生のキャラクターを支えるというよりは、2人でようやくひとつの世界観が成立していたような、そんな印象だったんです。でも、それはそれで2007年の映画からも年月が経っていたので気にならなかったんですが。

 

でも2015年の映画で久々に雨宮を見たら、「そうだ!  そうだ!  『HERO』って雨宮がいてこその『HERO』だったんだ!」と、2007年以来の空気感を思い出しました。

 

久利生はブレないというか、どんな逆境に遭遇しても絶対に成長がないんですよね。むしろ久利生がいて周りが成長していくことに受け手は共感したり、感動するように出来てる。

 

その中でも雨宮の変化が久利生を引き立たせる役回りでもあるし、変化が大きい分雨宮のほうにばかり感情移入してしまいがちだったから、存在感が大きかったんですね。

 

まさかもう続編はないと思うので最後に検事になった雨宮が見られてよかった。そして、なんとなく久利生と雨宮の間に気持ちがつながっているような描写があってよかった。

 

 

『HERO』はサントラも結構好き。

 

シン・ゴジラとエヴァと踊る大捜査線と

※多少のネタバレも含まれていますので、ご了承くださいませ。

 

『シン・ゴジラ』を見て、印象的だったのは「DECISIVE BATTLE」という曲。 

 

出演者もエヴァを想像するようなものがありますよということはメディアで言っていましたが、こんなにもエヴァ色強いものがあるとは思いませんでした。

しかも「ヤシマ作戦」を想起させるような流れでかかることの多かったサウンドだったので、なおさらエヴァの空気を濃く感じた気がします。

ただ私はエヴァだけじゃなく、もうひとつよぎったものが……。

それが『踊る大捜査線』。

というのも

テレビシリーズでBGMとして、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の戦闘シーン「DECISIVE BATTLE」「Spending Time in Preparation」のアレンジを使用している。番組の音響担当者がエヴァ製作者に了解を得て製作した。(DVD「踊る大捜査線1」より)

踊る大捜査線 - Wikipedia

ここにある通り、『踊る大捜査線』もエヴァのBGMを使っていたから。

※『踊る〜』では「危機一髪」というタイトルで収録。

 

このサウンドは、『躍る〜』では会議室で捜査の作戦を立てている場面でかかっていたことが多かった気が。

そして『シン・ゴジラ』でも同じような場面であのBGMが流れていました。

ちなみに『躍る〜』のDVD1巻の中にはこのようなコメントがあります。

この印象的なBGMはアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の劇中曲の転用。ビデオ化の際、曲の差し替えが検討されたが、『エヴァ』の庵野秀明監督が『踊る』の大ファンであったことから使用許可が下りた。

(『踊る大捜査線』DVD1 解説付再生より)

 

庵野監督が『躍る〜』のファンだったことを考えると、特に会議シーンは『踊る大捜査線』を逆輸入的にオマージュしているようにも感じられるのです。

しかも、トップダウン型の組織体制を皮肉に描いている部分があるところも、『踊る〜』に共通している部分のようにも思えます。

まさか『シン・ゴジラ』から『躍る〜』を思い出すとは思いませんでしたが、そんな要素もあると思って見たり、見返してみたら作品をより味わえる気がします。