ドラマガガ

今と昔のドラマがわかるドラマ好きのためのレビューブログ

俺たちに明日はある

SMAP解散報道もやや落ち着いた中、昔録画したDVDの整理をしていたら、2014年の27時間テレビ内で放映された「俺たちに明日はある」というドラマが出てきた。

 

内容は「SMAP解散」という噂が流れてそれをめぐりSMAPメンバーはどう思っているのか……実際にメンバーを追っかけたり、インタビューしたり、ドキュメンタリー風なドラマの展開を通して彼らの本音に迫るというもの。

 

先に言ってしまうと、スマスマの番組枠がほしかった明石家さんまが解散の噂を流して、SMAPに責められるというのがオチです。

 

当時は都市伝説のように語られていたSMAP解散ですが、解散が決まった今見ると予言していたんじゃないかというくらいリアル。

 

冒頭、SMAP解散にまつわるつぶやきや掲示板の書き込みが数々映し出されるのですが「年内解散」とか「独立」という文字が躍り、検索ランキングのような画面には「SMAP 解散」といった単語が並ぶ。

スマスマの収録後らしい映像が映るのだけど、なんだかメンバーがよそよそしく見える(演出なのかもしれないし、そもそも昔からそういう雰囲気なのかもしれないけど)。

解散について聞かれて言葉を濁すメンバーがいたり、27時間テレビの打ち合わせ中に「こんな状況じゃ……」というメンバーがいたり。

 

とはいえ、ドラマでは解散しないことをファンの前で報告し、「俺たちに明日はある」を披露。

しかも、SMAPについてどう思っているのかメンバー各々に聞くインタビューシーンではそれぞれグループ愛を語っていて……。

 

こういったシーンを見ると「年末のスマスマで『俺たちに明日はある』を歌って『実は解散はウソでした!』なんて言ったりして!」「もしかしてドラマを再現した壮大なドッキリだったり⁉︎」なんて考えてしまうけれど、現実はそんな甘くドラマチックな展開あるはずがない。

 

ほんの5年くらい前までは「笑っていいとも」最終回も「こちら葛飾区亀有公園前派出所」最終回も都市伝説中の都市伝説だと思っていたけど、その終わりは見えてしまった。

それらと同じように永遠なんてあるわけがないというのをとても実感した出来事でした。

 

そう考えると『徹子の部屋』も……?

今は考えたくない!

 

 

【9/7追記】

まさかの『シュート』(SMAPメンバー総出演の青春映画)のDVDが出てた!

 

 

HEROとHERO

 今更というかこのタイミングというか。

『HERO』(2007年)と『HERO』(2015年)の2本を見てみました。

 

 

 

2007年版は、会社員が暴行により殺された事件の裁判のため調査を進めていったら、それが大物政治家・花岡の汚職事件にもつながっていて……。そのせいで暴行殺人の被疑者には花岡がよこしたやり手弁護士・蒲生が担当することになり、事件の裁判が大混乱。そんな危機を久利生がどうやって打開していくのかが見もののストーリー。

 

2015年版は、ネウストリア公国大使館そばで交通事故で亡くなったコンパニオンの女性の事件を調べていくうちに、ネウストリア公国の大使館職員がある犯罪に手を染めていることが発覚。またこの亡くなったコンパニオンの女性というのは元々暴力団絡みの事件の証人になっており、この事件を担当していたのが検事になった雨宮。そのため久利生と雨宮が城西支部で再会!しかし交通事故の調査を進めるにはどうしても大使館の中に入らないことにはわからない。しかも大使館に入ること自体が国境を越えることになるため許可が必要だけれど外務省欧州局長の松葉などの邪魔が入りなかなか前に進まない。久利生&雨宮のタッグがどうそれを乗り越えるのかが見どころ。

 

比較してみるとどちらも共通しているのが、とある事件から巨大な組織の犯罪につながっているということ。

そして最初は面倒くさがってた城西支部の仲間たちも久利生の諦めない姿にやられ協力し、行く手を阻むもの(松本幸四郎演じる蒲生や佐藤浩市演じる松葉)を突破していく……という流れ。

事件が厄介なところとそれを解決していく過程が緩急あって面白いし、出てくるキャラがみんな濃いのもこの物語に惹きつけられる部分なんだと思います。

 

個人的には、そのバランスがうまく取れているのは2007年版のほうな気がするけど、雨宮の存在感が『HERO』を象徴しているのだと改めて気付かされたのは2015年版。

 

『HERO』テレビ版の2014年放送分からは久利生の事務官は麻木に代わり、これはこれで面白い掛け合いが見られたのだけど、どうもなんか物足りない……と思っていたものが2015年の映画『HERO』でようやくその原因がわかった感じです。

 

久利生が通販好きだったり、調査のためのお出かけが多かったり、検察官としては破天荒なのに人柄がいまいち掴めないというキャラクターを支えていたのがお節介で強気で真面目でお堅い雨宮。

 

麻木が出てきたときは、久利生のキャラクターを支えるというよりは、2人でようやくひとつの世界観が成立していたような、そんな印象だったんです。でも、それはそれで2007年の映画からも年月が経っていたので気にならなかったんですが。

 

でも2015年の映画で久々に雨宮を見たら、「そうだ!  そうだ!  『HERO』って雨宮がいてこその『HERO』だったんだ!」と、2007年以来の空気感を思い出しました。

 

久利生はブレないというか、どんな逆境に遭遇しても絶対に成長がないんですよね。むしろ久利生がいて周りが成長していくことに受け手は共感したり、感動するように出来てる。

 

その中でも雨宮の変化が久利生を引き立たせる役回りでもあるし、変化が大きい分雨宮のほうにばかり感情移入してしまいがちだったから、存在感が大きかったんですね。

 

まさかもう続編はないと思うので最後に検事になった雨宮が見られてよかった。そして、なんとなく久利生と雨宮の間に気持ちがつながっているような描写があってよかった。

 

 

『HERO』はサントラも結構好き。

 

シン・ゴジラとエヴァと踊る大捜査線と

※多少のネタバレも含まれていますので、ご了承くださいませ。

 

『シン・ゴジラ』を見て、印象的だったのは「DECISIVE BATTLE」という曲。 

 

出演者もエヴァを想像するようなものがありますよということはメディアで言っていましたが、こんなにもエヴァ色強いものがあるとは思いませんでした。

しかも「ヤシマ作戦」を想起させるような流れでかかることの多かったサウンドだったので、なおさらエヴァの空気を濃く感じた気がします。

ただ私はエヴァだけじゃなく、もうひとつよぎったものが……。

それが『踊る大捜査線』。

というのも

テレビシリーズでBGMとして、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の戦闘シーン「DECISIVE BATTLE」「Spending Time in Preparation」のアレンジを使用している。番組の音響担当者がエヴァ製作者に了解を得て製作した。(DVD「踊る大捜査線1」より)

踊る大捜査線 - Wikipedia

ここにある通り、『踊る大捜査線』もエヴァのBGMを使っていたから。

※『踊る〜』では「危機一髪」というタイトルで収録。

 

このサウンドは、『躍る〜』では会議室で捜査の作戦を立てている場面でかかっていたことが多かった気が。

そして『シン・ゴジラ』でも同じような場面であのBGMが流れていました。

ちなみに『躍る〜』のDVD1巻の中にはこのようなコメントがあります。

この印象的なBGMはアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の劇中曲の転用。ビデオ化の際、曲の差し替えが検討されたが、『エヴァ』の庵野秀明監督が『踊る』の大ファンであったことから使用許可が下りた。

(『踊る大捜査線』DVD1 解説付再生より)

 

庵野監督が『躍る〜』のファンだったことを考えると、特に会議シーンは『踊る大捜査線』を逆輸入的にオマージュしているようにも感じられるのです。

しかも、トップダウン型の組織体制を皮肉に描いている部分があるところも、『踊る〜』に共通している部分のようにも思えます。

まさか『シン・ゴジラ』から『躍る〜』を思い出すとは思いませんでしたが、そんな要素もあると思って見たり、見返してみたら作品をより味わえる気がします。

 

言の葉の庭

雨の表現がとてもきれいで、新海誠監督の作品はどれも景色がきれいだけど、この雨のきれいさは他の作品とは別格です。

舞台はどうやら新宿御苑の日本庭園。

高校生とOL風の女性が約束するわけでもなく雨の日に会うことで徐々に心を通わせていく物語。

名前なんてちゃんと知らないけど、なんとなしに話しかけるようになって、毎回会うたびに気持ちが落ち着くというか、心が和むというか、そんな恋しているのかどうかもまだ気づいていないような初々しい感情を思い出させてくれます。

セリフやシーンではっきりとキャラクターのバックグラウンドを言うところも少ないし、すっきり結論が出るストーリーではないけれど、その分想像したり余韻に浸れるのがこの映画の醍醐味。

それに秦基博さんが歌う「Rain」も作品にピッタリでものすごくいい味出してる!

 

言ノ葉

言ノ葉

 

ちなみに、この話にキャッチコピーをつけるとすると個人的には「愛しさと切なさと心強さと」という感じなのだけど(ギャグっぽくてゴメン!)、でも本当にそんなニュアンスが強い作品なんです。

少し物悲しくて涙したい夜とか、まさに雨の日にしっとりしたい日とか、ちょっと落ち込んでいるときとか、逆にうれしいことがあって興奮して眠れない夜とかに見るといいかも。

厳しい現実をきっちり描いているのになぜか心洗われるので。

 

言の葉の庭

言の葉の庭

 

 

人と向き合いたくなってくる「酒井若菜と8人の男たち」

人の宝物を見てこんなにこんなに大切にしている気持ちが伝わってきたものはない!

と思えるほど大事に大事に読み進めて、そしてまた大事に大事に読み返したいと思った本はないかも。

 

内容は酒井さんと親交のある俳優さんや芸人さんとの対談プラスその方たちにまつわる酒井さんのエッセイが一人ひとりついているというもの。

 

一人ひとりにちゃんと向き合えていて、それぞれときちんと心を通わせているんだなぁというところに確かに羨ましさは感じるんだけど、羨望というより「私もそうやって人と向き合っていきたい」という目標が展開されているように感じた。

「ああ、まだちゃんと人と向き合っていきたいという欲が残っていたんだ」と夢も希望も中途半端で将来への不安だけ大きくなっていっている今現在の私にとっては大きな励みになりました。

 

どの方の対談も全然違うテイストで、だからこそ味わい深い。

 

落ち込んだときにも励みになりそうだけど、夜寝る前にちょっとだけ誰かとおしゃべりできたら気持ちが落ち着いてぐっすり眠れそうだな……なんて気分のときに開くと、そんなことが疑似体験できそうな気がするような本かも。

 

日村さんが岡村さんの話を出して、次が岡村さんという流れの作り方もうまい!

 

なんか読んでると優しさにそっと包み込まれようななんとも不思議に感じる読書体験をぜひ体感してもらいたい書籍です。

 

 

思いのほか音楽劇だった『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』

「地獄図(ヘルズ)」というバンドが出てくるのは事前に知っていたので「音楽」が出てくるのはわかってましたが、思いのほかロックミュージカルテイストな映画でした。

出てくるアーティストも豪華!

Char、野村義男、マーティ・フリードマン、ROLLY、シシド・カフカなどなど……。

サントラも出てるみたいですが、サントラっていうよりコンピアルバムのような内容になっている気さえするほど音楽には力入ってました。

 

 

なので、音楽映画として楽しむのもおすすめです。

 

話の展開は、これまでの宮藤官九郎監督作のテイストがぎゅぎゅっと詰まっている感じ。

なので、『真夜中の弥次さん喜多さん』とか『少年メリケンサック』とか『中学生丸山』を事前に見ておくと、いい予習になりそう。

個人的には「やっぱり荒川良々は現世の人としては出しなくないんだなー」とか「母親は坂井真紀さんがしっくりきてるんだなー」とか。過去作品を思い出してそんなこと考えながら見てました。

 

小道具とか芸が細かい描写もきっと多いはずなのでじっくり見るならDVDでチェックするほうがいいと思うんですが、思いのほか歌ったり楽器弾いたりするシーンが多いので、音の良さを考えると映画館とか大きい画面、いい音響で見るほうが楽しいかな……と。

 

ちなみに過去の宮藤官九郎監督作はこちら。